IT資産管理、まだやっていないなら今日始めてください
社員30人の会社でも、PC・スマホ・タブレット・ルーター・モニターを合わせれば、IT機器は軽く50台を超えます。その50台、今どこに何があるか全部言えますか? 言えないなら、IT資産管理(ITAM)を今日から始める理由は十分です。
高いツールは要りません。Excelで十分です。大事なのは「把握している」状態を作ること。それだけで、この先に書く失敗のほとんどは防げます。
IT資産管理をやらないと、実際に何が起きるか
抽象的な「リスクがあります」という話はしません。私が中小企業のIT環境整備を手伝う中で、実際に見てきたケースを3つ紹介します。
**退職者のPCが3ヶ月間、誰にも引き継がれず放置されていた。**中にはクライアントとの契約書PDFや見積もりデータが残っていました。パスワードはポストイットでモニターに貼ってあり、誰でもログインできる状態。会議室の隅に電源が入ったまま置かれていて、発覚したのは元社員が「PCに私物の写真が残ってるので返してほしい」と連絡してきたからです。もし悪意ある第三者が先にアクセスしていたらと考えると、背筋が冷たくなります。
**Windows 10サポート終了の直前になって、全社PCの半数がアップグレード不可と判明。**各PCのスペックをそもそも把握していなかったので、1台ずつ確認する一斉調査に2週間かかりました。結果、急ぎの買い替えが必要に。計画的に発注していれば1台7万円で調達できたPCを、納期優先で12万円の機種に変更。20台で差額100万円です。年度予算にも組み込めていなかったので、経理部門との調整も大変でした。
**ライセンス監査で、使っていないAdobe Creative Cloudを14アカウント分払い続けていたことが発覚。**月額6,480円×14人×18ヶ月=約163万円の無駄遣い。担当者は「退職した人のぶんは止めたつもりだった」と言っていましたが、実際には解約手続きが完了していませんでした。「つもり」で済まないのがお金の話です。Microsoft 365やGoogle Workspaceでも同じことが起こり得ます。
どれも「台帳が1枚あれば防げた」話です。
今日から始める3つのステップ
ツールを買う前に、まずExcelで始めてください。IT資産管理ツールの導入は、台帳運用が回り出してからでまったく遅くありません。
ステップ1:IT資産台帳をExcelで作る
Google スプレッドシートでもExcelでも構いません。共有しやすいほうを選んでください。まず以下の列を作ります。
- 管理番号(A001のように、自社ルールで連番を振る)
- 機器種別(PC / タブレット / スマホ / モニター / ルーター / プリンターなど)
- メーカー・型番
- シリアル番号(本体裏面やBIOS画面から確認できます)
- 購入日(わからなければ「不明・推定2023年頃」でOK。空欄よりずっといい)
- 使用者名(共有機器なら「営業部共有」「受付用」など)
- 設置場所(本社3F、大阪支店、リモート持ち出し中、など)
- OS・スペック概要(Windows 11 / Core i5 / メモリ16GB)
- ステータス(使用中 / 保管中 / 廃棄予定 / 修理中 / 行方不明)
- 備考(バッテリー膨張あり、画面に線が入っている、等の申し送り)
完璧を目指さないでください。全項目が埋まっていなくても、台帳が「ある」と「ない」では天と地ほどの差があります。把握率60%でスタートして、棚卸しのたびに精度を上げていく。それで十分です。
初回の棚卸しは、各部署に「今手元にある会社のIT機器を全部教えてください」とGoogleフォームで聞くだけでも形になります。総務部が1人で全フロアを回るより、よほど早くて正確です。
ステップ2:ライフサイクルを見える化する
台帳ができたら、「購入日」の列を見てください。購入から4年以上経っている機器はどれくらいありますか?
法人PCの入れ替え目安は一般的に3〜5年。ただし、これは機械的に決めるものではありません。以下の3点で総合的に判断します。
- OSサポート期限: Windows 10は2025年10月でサポート終了済み。もしまだ業務で使っているなら、セキュリティリスクの観点から最優先で対応が必要です。
- 修理履歴と費用: 過去1年で修理に2万円以上かかっていたら、買い替えのほうがトータルで安くつく可能性が高い。バッテリー交換だけで1.5万円、さらにキーボード不良で1万円……と積み重なるパターンは珍しくありません。
- 業務への実害: 「起動に5分かかる」「Zoomを開くとフリーズする」という声が現場から出ていたら、その生産性の損失はPCの価格より確実に大きいです。
台帳に「次回更新予定」という列を1つ追加して、四半期ごとに入れ替え対象を一覧化する。これだけで「突然壊れたから急いで買う」というパターンがなくなります。年度予算にも前もって組み込めるので、経理との調整も格段に楽になります。
ステップ3:処分ルールを決める
IT機器の処分は、IT資産管理のライフサイクルで一番リスクが高いフェーズです。データが入ったまま機器を手放せば情報漏洩に直結しますし、処分方法を間違えれば廃棄物処理法違反にもなりかねません。
最低限、以下の3つを社内ルールとして文書化してください。
**データ消去の基準。**ソフトウェア消去ならNIST SP 800-88準拠の方法で実行する。自社で対応が難しければ、ADEC(適正消去実行証明協議会)認定の事業者に委託する。ここで強調しておきたいのは、「初期化」と「消去」は別物だということ。Windowsの初期化だけではデータは復元できます。専用ソフトを使うか、物理的にストレージを破壊するか。どちらかを必ず実施してください。
**処分先の判断フロー。**動作品で製造5年以内なら買取業者に出す。動かないもの、古すぎるものは産業廃棄物として適正に廃棄。リース契約の機器はリース会社に返却。この3パターンを決めておくだけで、担当者が毎回「これどうすればいいですか?」と聞いてくることがなくなります。
**証跡の保管。**データ消去証明書、買取時の明細書、廃棄時のマニフェスト(産業廃棄物管理票)。これらを台帳の管理番号と紐づけてファイリングしてください。税務調査や情報セキュリティ監査で「この機器は今どうなっていますか?」と聞かれたときに、即答できる状態がゴールです。
やりがちな失敗
**台帳を作って満足し、更新しない。**正直これが一番多いです。台帳は「作ること」がゴールではなく、「最新の状態を保つこと」が本当の目的です。新しいPCを買ったとき、人事異動があったとき、故障で修理に出したとき——台帳を更新するトリガーを具体的にリスト化しておかないと、半年後には使い物にならないデータの塊になります。更新担当者を決めて、月1回は台帳を眺める時間を設けるのがおすすめです。
**いきなり高額なIT資産管理ツールを導入する。**月額数万円のSaaS型ツールを契約しても、そもそも運用ルールが整っていなければ情報が入力されません。結果、ツール代だけが毎月引き落とされる。まずはExcelで3〜6ヶ月回してみて、「ここが手作業だと限界だな」という具体的なペインが見えてからツールを検討しても遅くありません。IT機器50台以下の規模なら、ぶっちゃけExcelで十分回ります。
IT資産管理の「出口」まで設計しておく
IT資産管理のサイクルは「購入→使用→入れ替え→処分」で一巡します。入れ替え時に出てくる旧機器をどう扱うかまで決めておくと、台帳のデータがそのまま買取業者への見積もり依頼リストになります。
機器の型番・台数・使用年数・状態が台帳で整理されていれば、複数の業者から相見積もりを取るのも簡単です。処分コストを抑えつつ、まだ使える機器は買取で資金を回収する。この出口まで含めて設計しておくことが、IT資産のライフサイクル管理の仕上げです。
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